ハカランダ=パンダ?

入社したての頃、私は木材についての知識は基本的なものしか持っておらず、知っている樹種はとても少なかったです。
なので、最初の頃は通常品をメインにどんな材を扱っているか教えて頂いてました。

ハカランダについて教えて頂いた時に言われたひと言でずっと頭の中に残っているのが「ハカランダとパンダは一緒」です。
これだけ言われると「どういうこと?木材と動物だから違うでしょ??」となると思いますが、実はこの2つ共通点があります!それは、色が黒い・・・ではなく、どちらもワシントン条約によって取引が制限されているのです!

ワシントン条約によって制限されているのならこの間の紅木も一緒なんじゃないの?と思う方がいるかもしれませんが、同じ条約内でも制限に違いがあります。
なので、今回はワシントン条約について書いていこうと思います!

ワシントン条約とは

正式名称「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、1973年にアメリカ・ワシントン.D.Cで採択され、1975年7月に発行された条約です。
どのような内容の条約かというと、絶滅の恐れのある野生動植物が国家間での過度な国際取引によって絶滅するのを防ぐため、国際取引を規制するものです。
そして、国際取引の規制が必要とされる野生動植物を守るために絶滅の危険性や、規制する取引の内容などに応じて3つに区分された附随書にリストアップされます。
附随書Ⅰ、Ⅱにリストアップされる規制の対象となる種類は2~3年ごとに開催される締約国会議で見直しが行われ、審議を経て、改正されているそうです。
また、附随書Ⅲについては随時各国が提出できるようになっているそうです。

ここまででワシントン条約がどんなものかは分かったかと思います。
でも、まだハカランダとパンダ、紅木の違いは出てきていませんよね?
その違いというのが、先ほど出てきた附随書の中のどれにリストアップされているかになります。
なのでここからは3つの附随書の内容と、1部ではありますが何がリストアップされているのか紹介していきます。

附随書Ⅲ

締約国が自国内での保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの。商業目的の国際取引は可能ですが、掲載国を原産地とする輸出には政府の発行する輸出許可書等が必要になります。この掲載国以外の国を原産地とする輸出の場合には原産地証明が必要になります。
こちらにリストアップされている動物がカナダのセイウチ、ネパールのアジア水牛、アメリカのワニガメなど。
植物だとロシアのモンゴリナラ、ヤチダモ、ベニマツや、ボリビア、ブラジル、コロンビア、ガテマラ、ペルーのセドロなどです。

附随書Ⅱ

現在は必ずしも絶滅のおそれはないですが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのある種になるもの。規制しなければ附随書Ⅰにリストアップされるほど絶滅のおそれが高い種になってしまうもの。
現在、附随書Ⅰにリストアップされているスローロリスは2007年の改正により附随書Ⅱから移行されたものです。
商業目的の国際取引は可能ですが、輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要になります。
こちらにリストアップされている動物がオウム、ライオン、ケープペンギン、カバなど。
植物だとハエトリソウ、ツルサイカチ属全て(シタン、ココボロ、キングウッド、チューリップウッド、グラナディラ、インディアンローズウッド等)、ブビンガ、紅木などです。

附随書Ⅰ

絶滅のおそれが高く、取引による影響を受けているか受ける可能性があるもの。
商業目的のための国際取引を原則禁止されており、学術目的等の取引は可能ですが、輸出国・輸入国両方の政府の発行する許可証が必要になります。
こちらにリストアップされている動物がジャイアントパンダ、ゴリラ、スローロリス、ウミガメなど。植物だとハカランダ(ブラジリアンローズウッド)、アレルセ(チリヒノキ)です。

ここまでワシントン条約について紹介してきましたがどうでしたでしょうか?

指定されている木材については以前から知ってはいましたが、改めて調べてみると動物園にいる動物など色々なものが指定されていることや、2017年の改正後からツルサイカチ属は派生物(種子、球根、果実、加工品)全てが取引規制の対象になっていたことにもビックリしました。

紅木は絶滅するかもしれなくなりそうで、ハカランダやパンダに至っては絶滅一歩手前。最初に言った通り制限に違いがありますが、いずれも希少であることに変わりはありません。

いつも普通に加工しているものが絶滅のおそれがあるほど希少になっていることを知る事ができたので、今まで以上に気を使って木取りや穴開けなど加工をしていこうと思います。

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