牛にひかれて善光寺参り【お朝事】

家族旅行で長野市へ行き、宿坊に泊まった翌日お朝事に参加してきました。
お朝事とは、日の出と共に本堂で始まる善光寺全ての僧侶が出仕して行われる法要で、1年を通して毎日欠かさず行われています。

日の出と共に始まるということはとても朝早く、この日は5時半に宿坊の玄関に集合でした。
参加する人達が集まり、公認案内人の方に説明を軽く聞いて出発しました。

雲が出ていましたが綺麗な朝焼けを見ることができ、こういう機会でもなければ朝焼けを見ることも無かあっただろうと思い、嬉しかったです。
朝焼けを見ながら善光寺の方へと進んでいきました。

本堂の方へと進んでいき山門の手前、左側には大勧進(だいかんじん)があります。


善光寺は無宗派で、現在その護持運営は大勧進を本坊とする天台宗と、大本願(だいほんがん)を本坊とする浄土宗の両宗派によって行われています。

その先にある山門は三門とも言い、三解脱門(迷いの世界を抜け出すための3つの方法)を省略したもので、悟りを得るために通らなければならない門を表していると言われています。
山門には額が掛かっているのですが、善光寺の文字の中に5羽の鳩が隠れている事から鳩字と呼ばれています。
皆さんはこの文字の中に隠れている5羽の鳩を見つけることができますか?

山門の上層部は拝観可能となっていて智慧の仏である文殊菩薩騎獅像(もんじゅぼさつきしぞう)、四天王像などの仏像が安置されています。更に回廊から本堂を上から見ることや、長野市を一望できます。

山門をくぐった先には国宝でもある本堂があります。
本堂は国宝に指定されている木造建築の中で4番目に大きいそうです。

今年は御開帳があったため回向柱(えこうばしら)が本堂の前にありました。
御開帳の期間は終わってしまっていたため前立本尊は御宝庫へと戻っていて繋がっている善の綱も取り払われていましたが、回向柱へ触ることができました。
回向柱の上部には、梵字五文字で「キャ・カ・ラ・バ・ア」と書かれています。これは、宇宙の構成要素である「空、風、火、水、地」の意味があり、仏法が宇宙をあまねく照らしていることを表しているそうです。

こうして案内人の方からお話を聞いていると、本堂の方から太鼓の音が聞こえてきました。
本堂からの音を合図に本堂の扉が開き、参拝者が堂内へと入れるようになります。そして善光寺住職である大勧進の御貫主(おかんす)様、大本願の御上人(おしょうにん)様が導師として本堂に出仕されます。

出仕される際にひざまずく参拝者の頭へ住職様が手にされた数珠で触れ、功徳を授けてくださいます。これをお数珠頂戴といいます。
本来ならば受けられるのですが、現在は感染症予防で受けられません。
ですが、この時に住職様が手にした数珠をこちらへと向けて参拝者の頭を触れるような動作をしてくださっていました。

その後は本堂の中へと入り、遂にお朝事が始まります。
お朝事の法要の中では普段閉ざされている御本尊前の戸帳が上げられ、善光寺の御本尊である一光三尊阿弥陀如来像が納められた瑠璃壇(るりだん)と厨子(ずし)を見ることができます。
御本尊が見える中、声明と2つの宗派の読経を聞くことができるのはとても良い経験でした。
また、大本願の現在の御上人様は女性のため珍しい女性による読経を聞く事もできました。声明と読経は迫力があり、御上人様の読経は澄んだとても綺麗な声でした。
鐘の音とともに金襴の戸帳が下がり、お朝事は終了となります。

お朝事に参加してみて、とても清々しい気持ちになりました。
朝焼けを見て1日が始まり、身近なようで全然知らなかった善光寺や仏教の事を知り、朝の爽やかな空気の中で読経を聞く。
どうだったか言葉に表そうとすると難しいのですが、宿を探している時に宿坊を選んで、更にお朝事に参加するようにして良かったと本当にそう思いました。

お朝事はこれで終わりですが、タイトルの意味や資料館の事などまだまだ善光寺について書けていないことが沢山あるので、次のブログで善光寺と牛がどのような関係があるかなどを書いていこうと思います。
とても長くなってしまいましたが、もう少しお付き合いいただけると幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました