野原工芸の工場の中には様々な樹種がありますが、様々な「杢」の材もあります。
縮杢(カーリー)や虎杢、玉杢、孔雀杢、鳥眼杢(バーズアイ)、瘤杢など・・・
私が名前を知らないだけで数多くの杢の出た材があります。
その中でも、最近工場の中でよく見かける杢があります。
それは【スポルテッド】です。
以前、スタビライズドウッドにした欅のスポルテッドや、最近では栃、楓瘤、マーブルウッドのスポルテッドの出た材を工場で見かけます。
何度かスポルテッドの出た材の紹介はしてきましたが、スポルテッド自体については詳しく紹介したことが無かったと思い、今回は何故できるのかなどを紹介していこうと思います。
まずスポルテッドとは、木が虫や鳥などの何らかの原因によって傷つけられ、そこから雨水が染み込みます。その際に内部にカビや細菌などが入り込んで繁殖することでできる黒い帯状の模様の事を指します。
メープルのスポルテッドをよく聞きますが、それはメープルシロップを採るために人工的に傷をつけるためできやすいそうです。
スポルテッドは黒い模様が綺麗ですが、雨水が染み込んだせいで画像の様に茶色に変色してしまっていたり、腐っているような状態で脆くなっていることが多いです。
そのため昔は腐っている材として日本では使われることは少なかったです。ですが、海外から今まで使われてこなかった瘤材や板割れ材を使ってレジンを入れたり、契りを入れてそれをデザインとしている家具や考え方が伝わり、そこから日本でもスポルテッドの木材が使われるようになったそうです。
最近ではギターなどの楽器や食器、ワーミー材のブログでも書いたようにフローリング材に使われているそうです。
楓瘤のスポルテッド。瘤×スポルテッドでとても贅沢な感じ。
スポルテッドのある材はスカスカで爪で軽く押すとすぐに跡が付くほど脆いので、そのまま使うには強度に心配があります。
そのためスタビライズドウッドになることも多いそうです。
先日、会長がスポルテッドの材を仕入れてこられて、その材を見ながらスタビライズドウッドにしたらどんな風になるだろうかと話していました。
欅の時の様にスポルテッドの黒い模様のところで色が止まるだろうか。白いところと変色したところとスカスカのところでは色の濃さが変わってくるだろうか。アク抜きをした方が含浸の量に差は出るだろうか。
スポルテッドの模様が細かくハッキリと出ている材があるので、スタビライズドウッドにするのがとても楽しみです。
スポルテッドのペンもあまり店頭に並ぶことはありませんが、もし来店された際にあった場合は手に取って見てみて下さいね。
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